HIGH STYLE TAKANAWA ハイスタイル高輪

未来を俯瞰し、いまを語る。緑多き都心の楽園・高輪
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商店会は、新旧違わず大勢の人がいて成立するもの。その変化に、自分たちの方が馴染んでいく努力が大事です。大駒 敏さん
75歳以上の方が5分の1になる2025年。例にもれず高齢化の波は確実に高輪にも及んでおり、今まさに地域医療の在り方が問われています。そこで肝心なのが、患者さんを心身ともにサポートすること。医療技術の提供だけでなく、気持ちに安らぎを与えることも地域の「かかりつけ医」としての社会的な役割なのだとおっしゃいます。
豪雪地方で実感した地域医療の実態
このクリニックを開業したのは2013年の12月です。それまでは大学病院に勤務しておりましたが、地域医療の大切さを実感したことが独立開業に至った1つの理由です。大学病院で整形外科に10年間勤務した後厚生労働省に10年ほどおりまして、再び大学病院に戻り「総合診療」の立ち上げに参加しました。これはいわば、専門分野を越えて生活習慣病などに悩む患者さんに幅広く対応し得る総合的な基礎医療の提供を目的とした取り組みです。
そうした真っ最中に、新潟県の妙高でクリニックを開いておられた知人が病に倒れ、毎週2回お手伝いに通うことになったのです。そこはまさしく、地域でたった一人の医師にあらゆる病の悩みを抱えた方が相談に訪れる地域医療の最前線でした。2年ほど通ったでしょうか、真冬には自分の背丈よりはるかに高く雪が積もった中、何十分も歩いて往診にも出かけるようなこともありました。リアルな地域医療の実態は想像以上にシビアなもので大学病院にいてはなかなか実感出来ません。そうした経験もあって私自身も「地域のかかりつけ医」としてこの高輪で腰を据えて患者さんと向き合う決心をした次第です。
高輪も例外ではない。住民の高齢化
高輪という街は昔はお屋敷街で、そうした方々をお相手に商売を営む旧住民の人たちと、お屋敷跡地に建設されたマンションに住む新しい住民の人々で構成されてきた街です。しかし今は高齢化が進み、腰痛や膝痛、そして骨粗しょう症などに悩む方々が増えてきています。そしてもう1つ見逃してはならないのが独居老人の増加です。つい先だっては、玄関先で倒れて身動きがとれずに放置され、5時間後にようやく発見されこのクリニックに運ばれていらした方がいらっしゃいました。
ここで考えなくてはならないのは、人間は誰しも歳を重ねればカラダの不具合は避けて通れないということです。だからこそ症状が悪化する前に我々が何らかの形で関わりを持ち、できるだけハッピーな生活を送っていただけるよう導くことです。たとえば腰が痛い、膝が痛いというお年寄りはどうしても家に引きこもりがちになる傾向にあります。このように既に症状が顕在化している方に関しては、まず痛みや不安を取り除くことが第一です。その一方では、患者さんが社会との関わりを持てるようアドバスする、あるいはその機会の提供を行うことが極めて重要であると考えています。
大好評だった「高輪講談会」の開催
よく病院はお年寄りのサロンになっていると言われますが、それはあながち悪いことではないと思っています。というのも、先ほど申し上げた通り、現在は独居老人の数が著しく増えている時代です。そうした方々が心置きなく足を運び、わずかな時間おしゃべりを楽しめる空間は、今の都会には病院しかないのが現状です。ならば病院はその役割をも積極的に担っていくべきではないでしょうか。地域医療の本質というのは、医療技術を提供するだけではありません。カラダの不具合を改善することは大前提として、もう一歩踏み込んだ「心のリハビリ」といった部分にも積極的に関わりを持ち、患者さんの毎日を心身ともに快適なものへと誘ってゆくこと、それが地域医療に求められていることです。
そうした考えを1つのカタチにした試みが「高輪講談会」の開催です。第1回目の開催は昨年の12月13日に旧知の講談師である神田鯉風さんをお招きして「赤穂義士銘々伝~安兵衛道場破り」と「赤穂義士本伝~義士勢揃い」の2演目を語ってもらいました。50人ほどの患者さんがいらっしゃったんじゃないでしょうか。もちろん無料です。大好評でまたやってもらいたいという要望が多かったのでこれからも継続してやっていこうと思っています。私なりに都合良く解釈させていただけば、このクリニックが出来たことで、高輪に暮らすお年寄りに新しい楽しみが1つ増えたのかなとも思っています。
医療の視点で高輪の街を見守っていく
現代の地域医療は、まずお年寄りのサポートに力を入れることが最優先課題です。しかし高輪の場合、土地柄もあってクリニックにいらっしゃる患者さんは多岐に渡っています。近隣の企業で働くビジネスマンの方や学校のクラブ活動で怪我をした学生さんなど、さまざまな方がそれぞれの悩みを抱えていらっしゃいます。したがって私の考える地域医療とは、地域のお年寄りのみならず、通勤や通学など何らかの形で高輪に縁のある方々すべてに対して最良の医療と安心、安らぎを提供しようというものです。
大学病院にいた頃は研究をして論文を書いて、若手の育成を行うことが仕事だと思っておりましたが、高輪にクリニックを開業させていただいて、地域の方々にお役に立つことを深く考えるようになりました。また、自分の社会的な役割は何かと考えた時、医療の視点で高輪の街を見守りつつ、微力ながらも多くの方が笑顔になれるお手伝いをしていくことに尽きるのではないかと考えています。ただそうしたことは私一人がどれだけ頑張っても実現できません。幸いここのスタッフたちは誰もが優しい気持ちを持った優れた人たちばかりです。これからも力を合わせて高輪の地域医療に務めたいと思っています。
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高輪整形外科クリニック
〒108-0074 東京都高輪2-15-8 グレイスビル泉岳寺前5階
TEL 03-5447-6808
http://takanawaseikei.com
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